「職務経歴書ってどう書けばいいの?」「履歴書だけで十分じゃないの?」
そんな不安や疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。特に初めての転職活動やキャリアチェンジを考えている方にとって、職務経歴書の作成は大きなハードルの一つです。
私自身、これまでに求職者の職務経歴書を添削・サポートしてきましたが、採用される書類と落とされる書類には、明確な「書き方の違い」があります。
職務経歴書は、あなたの過去の実績を伝えるだけではなく、「業務の再現性」をアピールするための重要なツールです。
本記事では、職務経歴書の基本構成から書き方のコツ、注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、企業の担当者に「この人に会ってみたい」と思わせる職務経歴書を作ることができるでしょう。
正しく書けば、職務経歴書はあなたの転職成功をグッと近づけてくれます。
1. 職務経歴書とは?|あなたの実績と魅力を伝える最重要書類
転職活動において、履歴書と並んで提出を求められるのが「職務経歴書」です。
この書類は、あなたがこれまでどのような仕事をしてきたのか、どのようなスキルを持ち、どんな成果を上げてきたのかを具体的に伝えるための重要なツールです。
履歴書が「あなたのプロフィール」を簡潔にまとめた書類であるのに対し、職務経歴書は【仕事の中身】を深く掘り下げてアピールする資料と言えます。
◆ 職務経歴書の役割とは?
採用担当者が職務経歴書を通じて知りたいのは、「この人は当社で活躍できそうか?」という点です。
そのため、単に過去の職務内容を時系列で並べるのではなく、『自社で再現性があるかどうか』を判断できるように、成果・実績・業務内容を具体的に記載することが求められます。
たとえば、「営業職として働いていた」というだけでは不十分です。
「月平均150件の新規アポイントを実施し、毎月の売上目標を120%達成」など、数字や具体的な成果を交えて記述することで、評価されやすくなります。
また、前職の業務で培ったスキルや工夫した取り組みを記載することで、応募先企業との親和性を示すことも可能です。
たとえ異業種への転職であっても、「この経験が御社でどう活かせるか」を想像させられる内容であれば、高評価につながります。
◆職務経歴書は「企業への提案書」
職務経歴書は、単なる過去のまとめではなく、「私はこのように御社で活躍できます」という提案書のようなものです。
過去の経験や実績を、企業側が欲しがる視点で編集し、わかりやすく伝えることが重要です。
採用担当者は数多くの書類に目を通しています。だからこそ、読み手に「この人に会ってみたい」と思わせるには、わかりやすさと具体性、そして自分らしさが欠かせません。
次の章では、実際にどのように書いていくべきか、職務経歴書の構成や記載例を詳しくご紹介します。

2. 職務経歴書の基本構成|採用担当者に伝わる書き方を徹底解説
職務経歴書は、単なる職歴の羅列ではなく、「自分がどんな経験をしてきたか」「どのようなスキルがあり、今後どう貢献できるのか」を相手に分かりやすく伝えるビジネス文書です。
そのため、採用担当者が読みやすく、評価しやすい構成で作成することが非常に重要です。
ここでは、職務経歴書を作成する際に押さえておくべき6つの基本構成を順番に解説します。
2.1 タイトル・氏名・日付
まずは書類の冒頭に以下の情報を記載しましょう。
- タイトル:「職務経歴書」
→ 書類の中央上部に記載します。フォントサイズを少し大きめにすると見栄えが良くなります。 - 氏名
→ タイトルの右下、もしくは右上にフルネームを記載します。ふりがなを入れる場合は、名前の上に小さく入れると丁寧です。 - 作成日
→ 氏名の下に「○○年○○月○○日」と記載します。応募日当日に合わせるのが基本です。
この情報は職務経歴書の「顔」の部分。シンプルで整ったレイアウトを心がけましょう。
2.2 職務要約(キャリアサマリー)
ここは採用担当者がまず目を通す箇所であり、「この人の職歴を詳しく読みたい」と思ってもらうための導入文です。
3〜5行程度で、自分の職歴の概要や経験した業務の特徴、得意分野などをコンパクトにまとめます。
例文:
営業職として5年間従事し、法人顧客向けにIT製品の提案から導入支援までを担当。常にチーム内で上位の売上実績を維持し、顧客満足度向上にも貢献してきました。社内表彰を複数回受賞し、目標達成力と顧客対応力には自信があります。
読み手の興味を引くために、数字や成果、得意スキルを簡潔に盛り込みましょう。
2.3 職務経歴(会社別・職務別に整理)
あなたの経験を最も具体的に伝えるパートです。基本的には勤務先ごとに分けて記載し、以下の情報を丁寧に整理しましょう。
- 会社名・事業内容・規模
→「○○株式会社(従業員数500名/ITサービス業)」など、会社の概要を簡単に補足。 - 在籍期間
→「2018年4月~2023年3月」など、年月単位で記載します。 - 部署名・役職名
→「営業部/主任」など。異動や昇進がある場合は期間を分けて明記。 - 業務内容
→ 日々の仕事内容や担当範囲を、端的かつ分かりやすく記載。箇条書きが見やすくておすすめです。 - 成果・実績
→「売上前年比120%達成」「新規顧客獲得数 月間平均10件」など、数字や具体的な結果を添えることで説得力が増します。
【記述例】
○○株式会社(従業員数300名/製造業)
2019年4月〜2023年3月
期間 | 職務詳細 |
2019年4月〜2023年3月 | 所属部署:営業部職 位:営業担当(2020年4月より主任) 【業務内容】 ・法人顧客向けの機械部品の提案営業 ・月20件以上の新規アポイント獲得 ・見積作成〜契約書管理、納品フォローまで一貫対応 【主な実績】 ・2021年度:営業成績全社3位(年間売上1億2,000万円) ・新人育成担当として後輩2名の教育を担当 |
2.4 活かせる知識・スキル
これまでの仕事で培ったスキルを記載します。具体的な技術やツール、言語などがある場合は簡潔に一覧にしましょう。
例:
・Excel(VLOOKUP・ピボットテーブル)
・Salesforce(営業支援ツール)
・HTML/CSS、JavaScript(Webページ作成)
・英語:TOEICスコア 750点
2.5 資格・免許
応募先企業にとって有益な資格をアピールできるパートです。取得年月も忘れずに記載しましょう。
例:
・ITパスポート(2022年3月取得)
・MOS Excel Expert(2021年10月取得)
・普通自動車第一種運転免許(2015年7月取得)
職種によっては、関連資格が評価対象となる場合もあるため、古くても記載しておくのがおすすめです。

2.6 自己PR
最後に、あなたの人柄や仕事に対する考え方、意欲を伝える自己PR文を記載します。
過去の具体的なエピソードを交えて、「なぜ自分が選ばれるべきか」をストーリーとして伝えると印象に残りやすくなります。
例文:
これまで営業職として、目標達成はもちろん、顧客満足を第一に考えて行動してきました。提案前のヒアリングを徹底し、信頼関係を築くことを重視しています。未経験業界への挑戦となりますが、柔軟な学習姿勢と行動力を活かし、即戦力となれるよう努力いたします。
構成を押さえ、相手に伝わる表現を意識することで、転職成功の可能性がぐっと高まります。
3. 職務経歴書の形式|あなたの強みを引き出す3つのスタイル
職務経歴書にはいくつかの形式があり、どの形で書くかによってあなたの伝えたいポイントがより効果的に伝わるかどうかが左右されます。
そのため、自分の職歴やアピールしたい内容に合った形式を選ぶことがとても重要です。
ここでは、主に使われる3つの職務経歴書の形式について、それぞれの特徴と向いている人のタイプを解説します。
3.1 編年体形式(時系列形式)
編年体形式は、最も一般的でスタンダードな形式です。
過去の職歴を「古い順」に記載していく方法で、職務経歴の流れやキャリアの積み上げ方が分かりやすいという特徴があります。
◆ 特徴:
・最初に就いた仕事から順番に記載する
・キャリアの成長や転職理由が自然に伝わりやすい
・採用担当者も読み慣れている
◆ 向いている人:
・長期的なキャリアを積んでいる人
・同じ業界・職種でステップアップしてきた人
・転職回数が少ない人
◆ 注意点:
職務の内容が似通っている場合、やや単調に見える可能性があります。そのため、各職務での工夫や成果をしっかり記載することが重要です。
3.2 逆編年体形式(最新→過去の順)
逆編年体形式は、現在または直近の職歴を最初に記載するスタイルです。
最新のスキルや成果を前面に押し出せるため、即戦力としてのアピールに効果的です。
◆ 特徴:
・最新の経験・成果を冒頭に持ってくることで印象を強められる
・現職の経験が最も関連性の高い場合に有利
・履歴書との対応がとりやすい
◆ 向いている人:
・今の職務で大きな成果を挙げた人
・同じ業界で転職を考えている人
・アピールしたい経験が直近にある人
◆ 注意点:
キャリアの全体像が見えにくくなることがあるため、「職務要約」で経歴全体を簡潔にまとめておくとより効果的です。
3.3 キャリア形式(機能別形式)
キャリア形式は、時系列にこだわらず、経験した職務やプロジェクト、スキル別にまとめるスタイルです。
複数の業務に関わった経験や、特定の分野のスキルを強調したい場合に適しています。
◆ 特徴:
・職務内容やスキル別に整理されているため、専門性が伝わりやすい
・プロジェクトごとの成果や役割を明確にできる
・転職回数や職歴の空白が目立ちにくい
◆ 向いている人:
・転職回数が多い人
・フリーランス経験がある人
・特定の専門スキルや実績を強くアピールしたい人
◆ 注意点:
キャリアの流れが見えにくくなるため、必ず「職務要約」などで背景を簡潔に説明し、採用担当者が混乱しないよう配慮が必要です。
職務経歴書は、あなたのこれまでの経験を企業に伝える大切な“営業資料”です。
そのため、「どんな形式で書くか」によって、伝わる印象や採用担当者の評価が大きく変わります。
以下のように整理して選ぶと、自分に最適な形式が見えてきます。
形式 | 向いている人 |
編年体形式 | キャリアに一貫性がある人、業界内での転職 |
逆編年体形式 | 直近の職歴を強調したい人、即戦力として訴求したい人 |
キャリア形式 | スキルを全面に出したい人、転職回数が多い人 |
自分の経験を最も魅力的に伝えられる形式を選び、読み手の目に留まる職務経歴書を目指しましょう。
4. 職務経歴書作成のポイント|採用担当者に刺さる3つの工夫
職務経歴書は、単に自分の経歴を伝えるだけでなく、「自分をどう魅せるか」が試される書類です。
採用担当者にとって魅力的に映る職務経歴書を作るためには、いくつかの重要なポイントを意識する必要があります。
ここでは、より効果的にアピールできる職務経歴書を作成するための3つのポイントを詳しく解説します。
4.1 数値で成果を示す|“実績の見える化”が信頼を生む
「営業として頑張った」「顧客対応に力を入れた」――
このような抽象的な表現だけでは、あなたの実力が正確に伝わりません。
採用担当者は、応募者の「成果」や「貢献度」をできるだけ客観的な形で知りたいと考えています。
そのためには、売上高、達成率、件数、時間短縮、改善率などの具体的な数値を使って成果を記載することが非常に効果的です。
例文:
・「新規顧客獲得数:月平均15件(前年比130%増)」
・「クレーム対応件数:1年間で20%減少」
・「業務効率化により、月間作業時間を20時間削減」
このように数値で実績を“見える化”することで、説得力が格段にアップし、他の応募者と差をつけることができます。
4.2 キーワードを意識する|“企業とのマッチ度”を高める工夫
職務経歴書を作成する際には、応募先企業の求人票や公式サイトをよく読み、記載されている「キーワード」を意識的に取り入れることが大切です。
企業が使用している言葉――たとえば「顧客志向」「コミュニケーション能力」「提案営業」「業務改善」などを、自分の経験やスキルと結びつけて表現することで、「この人はうちの求める人物像に近い」と感じてもらいやすくなります。
コツ:
・求人票に出てくるスキルや資格、人物像を抜き出してメモしておく
・職務経歴書内でそのキーワードを自然に使う
・自己PRや実績説明に反映させる
4.3 誤字脱字のチェック|“基本ができているか”の信頼度に直結
どれだけ素晴らしい職歴や実績があっても、誤字脱字があると印象は大きく損なわれてしまいます。
採用担当者にとって、職務経歴書はあなたの「仕事に対する姿勢」が表れるものです。
誤字脱字があると、
・「この人は確認を怠るのでは?」
・「基本的なビジネスマナーが身についていないのかも」
というマイナス印象を与えてしまいかねません。
チェック方法:
・一晩おいてから再度読み直す(客観的に見やすくなる)
・音読してみる(誤字や不自然な文章に気づきやすい)
・友人や転職エージェントにチェックしてもらう
ミスのない、読みやすい書類は、それだけで信頼感につながります。
職務経歴書を魅力的に仕上げるためには、単に事実を羅列するのではなく、読み手である採用担当者の立場になって、どのように伝えるかを意識することが重要です。
・実績は数字で具体的に
・応募企業のニーズに合わせたキーワードを盛り込む
・誤字脱字を防ぎ、ビジネス文書としての完成度を高める
この3つを意識するだけで、職務経歴書の印象は大きく変わります。
「伝わる職務経歴書」=「選ばれる職務経歴書」。
ぜひ、これらのポイントを意識して、内定に一歩近づく書類を作成してください。
まとめ|伝わる職務経歴書が転職成功のカギ
職務経歴書は、あなたのこれまでの経験やスキルを採用担当者に伝える、非常に重要なツールです。履歴書だけでは伝えきれない「どのような業務に取り組み、どのような成果を出してきたのか」を具体的に示すことで、企業側に「この人に会ってみたい」と思わせることができます。
そのためには、まず職務経歴書の基本構成(職務要約・経歴・スキル・自己PRなど)を押さえたうえで、あなたの強みや実績をわかりやすく整理しましょう。特に、数値で成果を表現したり、企業の求人内容に合わせたキーワードを盛り込むことが、通過率を高めるポイントになります。
テンプレートやフォーマットを活用すれば、書式面の不安も解消できます。大切なのは、「誰に、何を、どう伝えるか」を常に意識しながら作成することです。
しっかり準備された職務経歴書は、あなたの魅力を最大限に引き出し、転職成功へと導いてくれる強力な味方となるでしょう。
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